🎼国民的愛唱歌『翼をください』
誰もが知っている、
そして歌ったことがある国民的愛唱歌の
『翼をください』。
当音楽教室の 歌のクラスでも、
小学生から大人まで、幅広くレッスンしています。
音域が高すぎず、低すぎず、
のびやかな明るいメロディーに気持ちもノリやすく、
比較的、 歌いやすい曲だと言えます。
『翼をください』は、
作曲されてから50年以上の、
長い時が経った今でも色あせることなく、なお、新鮮に感じられる曲です。
長く広く国民に愛されるのは、
人々の心を、清々しく明るい気持ちにしてくれるからでしょう。
『翼をください』を歌い、聴くと、
いつも心地良い爽快感がわいてくるわけは、
どこにあるのでしょうか。
曲に込められたメッセージを理解して歌うことで、
さらに、深い表現ができるようにしましょう。
🎼『翼をください』はロック調の曲だった!
『翼をください』は、
日本のフォークソンググループ『赤い鳥』(1969年結成、以後5年間活動)が
歌うために作曲された歌です。
1970年に作曲され、
翌年の1971年に発売したレコードは、100万枚を超えるヒットとなりました。
現在の『翼をください』のイメージとは 、
かなり違って、意外にも、ロック調の曲だったのですね。
🎼色あせずに心に響き続ける『翼をください』
1976年以後は、
学校の音楽の教科書に たびたび掲載され、
合唱曲として、広く知られるようになりました。
その頃から、学生の明るく爽やかな歌声のイメージが大きくなりました。
この後、『翼をください』は、
学校で歌われるだけではなく、一般的にも広く知られるようになっていきます。
1998年、
サッカーワールドカップ日本代表チームの応援歌に採用され、
同じ年に開催された長野オリンピックでも、
『翼をください』が流されました。
オリンピックで流されると、
世界的にも知られるようになり、
各国のミュージシャンが、カバーし、演奏するようになりました。
そして2006 年には、〈日本の歌百選〉に選出されています。
▼日本の歌百選とは
2006年に、文化庁と日本PTA全国協議会が、
親子で長く歌い継いでほしい抒情歌・愛唱歌を101曲選んだもの。
「100」ではなく「101」曲なのは、
選考の結果、どうしてもしぼり切れなかったため。
また最近では、
2021年の東京オリンピック開会式で、
世界的に有名な歌手スーザンボイルさんが歌う英語バージョンが流されました。
2022年に公開『耳をすませば』の実写版映画
では、主題歌として歌われています。
世の中の変化のすさまじさの中で、
『翼をください』は50年もの間、
色あせることなく、変わらずに人々の心に響き続けています。
これは、驚くべきことではないでしょうか。
🎼『翼をください』の作詞者
作詞者は、山上路夫さん(1936(昭和11年)- )
日本を代表する著名な作詞家で、
「世界は二人のために」「瀬戸の花嫁」「ガンダーラ」などの数多くの大ヒット作を、
世に送り出し続けています。
ドラマ「水戸黄門」「ベルサイユのばら」や、
アニメ番組の主題歌、
「明治マーブルチョコレート」「不二家チョコレート」「日産スカイライン」などの
CMソングにも多くの曲が使われました。
山上路夫さんがこれまでに作詞した数々の曲は、
国民的に広く愛されてきました。
🎼『翼をください』の作曲者
作曲者は、村井邦彦さん(1945(昭和20年)- )
日本を代表する作曲家であり、
名プロデューサーとして世界的に著名です。
1967年から、
数多くのヒット曲を量産する傍ら、
1969年に、音楽出版社「アルファミュージック」を、
1977年には、レコード会社「アルファレコード」を設立しました。
『翼をください』を歌った赤い鳥を人気グループに、
高校生だった荒井由実(松任谷由美)さんの才能を見出して育て、
YMOを世界へ送り出し、成功に導くなどの
大きな功績で知られています。
🎼名コンビ【作詞:山上路夫&作曲:村井邦彦 】が送り続けたメッセージとは
音楽出版社「アルファミュージック」は、
『翼をください』の作曲者、村井邦彦さんが、
作詞者の山上路夫さんらと共に立ち上げました。
以降の数々のヒット曲のほとんどを、
【山上路夫さん作詞・村井邦彦さん作曲の名コンビ】で作り上げてきました。
村井さんは、
「山上さんとは、お互いの考えが、
特別に話をしなくても理解できる関係だった」そうで、
「夫婦のように、あうんの呼吸で、曲を作ってきた。」
と、おっしゃっています。
🎹作詞者:山上路夫さんが憧れた《普遍性+スタンダード》
《普通の生活っていうのは、僕にとっては宝みたいなもの》
とは、山上路夫さんの言葉です。
山上さんは、幼少期から体が弱く、
中学生の時から成人するまでは、
療養のため、ほぼ自宅から出られない生活を送りました。
友人と一緒に学んだり、語り合ったり、恋をしたりといった
世間一般的な青春時代の学生生活を経験しなかったため、
強い喪失感にさいなまれ、《普通であること》に憧れました。
作詞家になってからも、その思いに変わりはなく、一貫して、
を意識して作詞を続けてきたそうです。
さらに、《普遍性》であることに加えて、
な作品を書くことが、喜びとなったそうです。
♪ 山上さんが作詞に込めるメッセージ ♪
《普遍性+スタンダード》
に、作曲者の村井さんは、常に共感し、
いつの時代にも愛される曲を作曲することに、エネルギーを注ぎました。
『翼をください』が、今も昔も変わらずに、
いつの時代にも色あせることなく、
心地良く心に響く曲であり続けるわけは、
《普遍性》を備えた《スタンダード》な作品であるから
だと言えます。
では、『翼をください』に込められた
《普遍性+スタンダード》とは、いったい何でしょうか。考えてみましょう。
🎼『翼をください』に込められた《普遍性+スタンダード》とは何か
もう一度、言葉の意味を確認しておきましょう。
⇩この2つをまとめると、
時代や場所を超えて、変わらずに当てはまる価値観を表し、
それが、人のあるべき姿を示すもの、人としてのあり方を映し出しているもの。
ということになります。
この条件を兼ね備えている『翼をください』は、
年月を経ても変わらずに、どの時代にも愛される作品となっているのです。
では、
山上さんが『翼をください』の歌詞に込めた《普遍性+スタンダード》とは、
何でしょうか。
それは、
【平和であること】
なのです。
【平和であること】は、
時代や場所を超えて、変わらずに当てはまる価値観を表し、
それが、人のあるべき姿を示すもの、人としてのあり方を映し出しています。
🎹『翼をください』歌詞
次に、『翼をください』の
歌詞に込められたメッセージを、読み解いていきましょう。
今 私の願いごとが
かなうならば
翼がほしい
この背中に 鳥のように
白い翼 つけてください
この大空に 翼を広げ
飛んで行きたいよ
悲しみのない 自由な空へ
翼 はためかせ 行きたい
今 富とか名誉ならば
いらないけど
翼がほしい
子どものとき 夢見たこと
今も同じ 夢に見ている
この大空に 翼を広げ
飛んで行きたいよ
悲しみのない 自由な空へ
翼 はためかせ 行きたい
この歌詞に込められた
《普遍性+スタンダード》が【平和であること】のポイントとなる部分を、
確認していきましょう。
【平和であること】は、いつの時代も、人類共通の願いです。
🎼歌詞「翼 はためかせ」に込められた意味
歌詞の締めくくり部分、
最後の一文に注目してみましょう。
「翼 はためかせ 行きたい」
「はためかせる」
という言葉の意味は、何でしょうか。
何となくイメージは浮かびますが、
きちんとした意味を調べてみます。
⇩
という意味になります。
重要なのは、
「翼を《はためかせて》行きたい」のです。
両の翼をしっかりと広げて、
それをしっかりと動かし、打ち合わせながら、
空へ飛び立つのです。
バサバサっと音を立てて、風を起こして、舞うのです。
歌詞の締めくくりの一文には、
《しっかりと力強い意志を持って羽ばたいて行きたい》
という強いメッセージが込められているのです。
何に向かって「翼 《はためかせ》 行きたい」のかというと、
「悲しみのない自由な空へ」つまり、
【平和であること】
です。
平和の祭典オリンピックで、
『翼をください』が流れるのは、最もなことですね。
🎼心を「はためかせて」歌いましょう!
時代や場所を超えても変わらない
《普遍的》な価値観、
【平和であること】を願う歌『翼をください』は、
人のあるべき姿を示すもの、
人としてのあり方の《スタンダード》を映し出しています。
清々しい心地良さを感じながら、
《心をはためかせて》当教室で、ご一緒に歌いませんか。
今回のコラムにもお付き合いいただき、
ありがとうございました。
次回のコラム『ちいさな感動おおきな感動』も
よろしくお願いします。
梅谷音楽学院 講師 IKUKO KUBO (^^♪