今も記憶に残る衝撃の深い感動!64年前のチェコフィル初来日公演の思い出

チェコフィル
珠玉の音を求めて

先日、東欧の名門チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の、4年ぶりの来日公演が行なわれ、私も、好評を博した今回の来日公演に行ってまいりました。

演奏を聴きながら、遥かな昔、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団が演奏するドヴォルザークの「新世界」交響曲に涙した、若き日の思い出が蘇り、今回のコラムに記すことにいたしました。

思えば、同楽団が初めて日本の地を踏んだのは、遡ること64年前、1959年のことでした。
当時、高校1年生の私でしたが、その記念すべき初来日公演の演奏を幸いにも聴くことができたのです。

時代は東西冷戦の最中で、当時、チェコは東側の体制でした。文化面でも双方が競い合っていた状況の中、世界にその名を馳せるチェコ・フィルハーモニー管弦団の初来日は、大きな話題を呼びました。

初来日メンバーは、全てチェコ出身の著名な音楽家で、常任指揮者のカレル・アンチェルを筆頭に、ピアニストのヤン・パネンカ、バイオリニストのヨゼフ・スーク、さらに総勢107名からなる大編成オーケストラ。
公演は、日本の主要都市10カ所で15回にわたりました。

初来日大阪公演を迎えた1959年11月6日、開演午後6時30分、会場のフェスティバルホールは熱気に包まれていました。

当日のプログラムは、

スメタナの歌劇「売られた花嫁」序曲
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界」
プロコフィエフの「ロメオとジュリエット」第1組曲
ムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」

当日のパンフレット:作曲家解説ページ 
スメタナ(左)ドヴォルザーク(右)

目を見張るような演奏曲目ですが、その中でも、カレル・アンチェル指揮による、祖国最大の作曲家ドヴォルザークの作品、交響曲第9番「新世界」ホ短調 Op.95 の演奏は、世界の頂点に立つものとされ、一際注目を集めました。

ちなみに、「新世界」交響曲は、ドヴォルザーク51歳の年、ニューヨークの音楽院の院長に要請され、就任した約3年間に書かれた作曲家最後の交響曲です。
タイトルの「新世界」の名は「アメリカ大陸」を指し、第2楽章の「家路」で知られる有名な旋律は、先住インディアンの歌を参考にしたとも伝えられています。
同じく渡米中に書かれた唯一の「チェロ協奏曲」と共に、ドヴォルザークの最高傑作と言われています。

いよいよ、多くの人々が最も待ち望んだ、ドヴォルザークの「新世界」の演奏が始まります。
ホール全体が固唾を呑む中、巨匠カレル・アンチェルの指揮棒が振り下され、第1楽章冒頭の故郷を思うかのようなメロディーがチェロによって静かに奏され、やがて、全4楽章・約40分からなる壮大な交響曲「新世界」が、会場に響きわたりました。

ドヴォルザーク 交響曲第9番 「新世界」
指揮:カレル・アンチェル   チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

僅か16歳の私でしたが、その毅然とした熱い演奏から、まさに祖国チェコの誇り、魂を肌で感じたことを今も明確に覚えています。
その頃、日々、スコア(総譜)に目をやり、「新世界」のレコードに熱中していた私は、その日、世界一級の演奏を目の当たりにしたことで、衝撃ともいえる深い感動が心に刻まれました。

終演後、興奮冷めやらぬ中を楽屋に駆け込み、巨匠カレル・アンチェル氏から自筆サインをパンフレットにいただき大喜びしたことも、今は忘れられない良き思い出です。

思い起こせば、クラシック音楽に興味をもった中学生時代より、ピアノを弾くことが日課となり、レコードを聴き、音楽会にもよく足を運びました。
お陰で、これまでに国内外の素晴らしい演奏会から、計り知れないほどの感銘を授かることができました。

この機会に、これまでのパンフレットに目を通してみましたら、世界の初来日公演に限ってみても実に数々ありました。

今回のチェコ・フィルハーモニー管弦楽団(1959年)
大阪国際フェスティバル・第1回開幕公演のレニングラード交響楽団(1958年)
パリ・オペラ座(1961年)
アムステルダム・コンセルトヘボウ交響楽団(1962年)
ロンドン交響楽団(1963年)
パリ音楽院管弦楽団(1964年)
スラブ歌劇(1965年)
バイロイト音楽祭(1967年)
スイス・ロマンド管弦楽団(1968年)等々、
毎年の如く、日本における演奏会の歴史に残るような初来日公演を聴いてきたことを再認識しました。

初来日公演プログラムの数々

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の初来日公演から2年後、念願の音楽大学に進学し、自らが「新世界」のチェロパートを演奏する機会に巡り合えました。
以後、生涯にわたるクラシック音楽との道程に、今日、改めて深い感慨を覚えると共に、本当に幸せなことであったと心から感謝しております。

当コラムをお目通し下さった方には、厚くお礼申し上げます。

梅谷音楽学院 代表/梅谷邦彦

チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の、好評を博した4年ぶり来日公演の詳しい内容については、コラム『珠玉の音を求めて』の中の「64年前の感動が蘇る!チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演」として掲載しておりますので、ご興味のある方は、是非、ご覧ください。

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