かの偉大な作曲家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、
1756年1月27日、ザルツブルグ(現オーストリア)に生まれ、
1791年12月5日、ウィーンにおいて世を去りました。
時は1991年、
享年35歳の若さで死去した、不世出の作曲家
モーツァルトの死後から200年にあたり、
「楽聖モーツァルト没後200年」の記念年として、モーツァルトの偉業を称えるさまざまなイベントが世界規模で催されました。
日本でも、内外の演奏家による記念演奏会や、
モーツァルトの伝記小説を映画化した
「アマデウス」( 制作:1984年、アカデミー賞、8部門受賞作品 ) が話題を集め、
クラシック愛好家のみならず、広く人々にも関心が高まりました。
折から、私が指導する吹田混声合唱団では、
合唱団発足から9年、第7回定期演奏会を「《モーツァルト没後200年記念》演奏会」として、
モーツァルトイヤーにふさわしい特別プログラムを組み、開催する運びとなりました。
吹田混声合唱団第7回定期演奏会 プログラムの表紙
1991年12月15日、
まさに、「モーツァルト没後200年」記念年における、有終の美を飾る思いの下に、
「モーツァルト音楽の旅~神童から楽聖へ~」の特別プログラムに臨みました。
第1部は、ピアノ曲、交響曲、ピアノ協奏曲、オペラより序曲と3重唱曲、そして合唱曲、と、
モーツァルトの多種にわたる作品の数々を年代順に演奏し、
モーツァルトの作品と共に、人となりや生涯にも思いを馳せていただける構成です。
第2部は、レクイエム(死者のためのミサ曲)ニ短調 K.626
モーツァルトが死の直前まで書き進めながらも、未完のまま筆を絶ち、
弟子のジュースマイヤーによって補筆完成された作品。
三大レクイエム(モーツァルト、フォーレ、ヴェルディ)として称えられる、
モーツァルト最晩年の感動の大作を、特別プログラムの最終ステージとしました。
さらに、より身近により深くモーツァルトに触れていただけるよう、
演奏会場のロビーにて「モーツァルト展」を併設し、
私が収集の音楽資料の中から、
モーツァルトの肖像画、初版楽譜、直筆の楽譜や手紙(ファクシミリ版)など、
約100点を展示しました。
【展示品より】
モーツァルト「レクイエム」冒頭ページの直筆(ファクシミリ版)
モーツァルト没後200年記念限定出版本(出版:ドイツ・ベーレンライター社)
演奏会は、会場1400席が満席のお客様の中、
2時間30分に及ぶステージをご披露し、
嬉しくも、多くの皆様方からご好評を賜ることができました。
何よりも、総勢176名に及ぶ出演者の熱演、他に例を見ない構成の特別プログラム、
併設モーツァルト展の企画等による、ひたむきな努力の結果であり、
まことに有意義な記念演奏会であったと自負しております。
また、今回の演奏では、
第1部、オペラ「フィガロの結婚」よりの3重唱で、
合唱団員である私の娘が、スザンナ役(ソプラノ)で、
また、ピアノ協奏曲「第9番」第2楽章のピアノ独奏において、
合唱団の常任伴奏者を務める私の妻が独奏し、共演の良き思い出となりました。
クラシック音楽の道を歩む者にとって、
音楽史に燦然と輝く楽聖モーツァルトに畏敬の念を抱き、
未熟ながらも力の限りの情熱を注いで開催した、
「《楽聖モーツァルト没後200年記念》演奏会」の体験は、
合唱指揮者として、これまでタクトを振った幾多の演奏会の中でも、
最も心に残るものの一つであり、深く感謝を捧げる次第です。
【プログラム】 〈第1部〉 1. ピアノ曲 K.1より 5 曲 独奏:瓶井愛佳 2. 交響曲「第 1 番」変ホ長調 K.16 (第 1 楽章) 3. 交響曲「第 25 番」ト短調 K.183 (第 1 楽章) 4. ピアノ協奏曲「第 9 番」変ホ長調 K.271(第 2 楽章) 独奏:梅谷陽子 5. オペラ「フィガロの結婚」K.492 より ・序曲 ・3 重唱「出ておいでスザンナ」 独唱:梅谷郁子 大橋眞子 蓮尾三郎 6. モテット 「アヴェ・ヴェルム・コルプス」 K.618(合唱) 指 揮:梅谷邦彦 合 唱:吹田混声合唱団 カナリア・コーラス 管弦楽:大阪チェンバーオーケストラ 司 会:宇田川美子 〈第2部〉 「レクイエム」ニ短調 K.626(全曲) 指 揮:梅谷邦彦 独 唱:ソプラノ 長井留理子 ア ル ト 黒田近子 テノール 半場俊一郎 バ ス 田中 勉 合 唱:吹田混声合唱団 カナリア・コーラス 管弦楽:大阪チェンバーオーケストラ
【合唱指揮公演録 心に刻まれる数々のステージ】による初めての投稿です。
ご高覧いただきました方には、厚くお礼申し上げます。
今後も継続の予定ですので、よろしくお願いいたします。
梅谷音楽学院 代表/梅谷邦彦