🎼歌う人のレベルを問わずに練習できる歌曲です。
『カーロ ミオ ベン』(イタリア語:Caro mio ben )は、
イタリアのクラシック歌曲の中で、最も有名な歌曲と言われています。
作曲者は、トンマーゾ・ジョルダーニ(1730-1806 イタリア )
オペラ一座の一家に生まれ、
オペラ作曲家として多くの声楽曲、管弦楽組曲を作曲しました。
作詞者は不明です。
声楽を学ぶ人は、誰もが『カーロ ミオ ベン』を歌って、練習したことがあるはずです。
声楽を習い始めた初心の人でも、
音楽大学の声楽科を目指す人でも、
声楽の先生でも、
歌う人のレベルを問わずに練習できる歌曲で、
当教室でもレッスンをしています。
歌の発表会や、
音楽高校、音楽大学の試験曲で選ぶ生徒さんも多いので、
ピアノ科の生徒さんは、
伴奏を頼まれて弾いたことがある人や、
プロの声楽科の演奏会でも歌われる機会が多く、コンサートホールや、
クラシック音楽のテレビ番組で聴いたことがある人、
また、高校の教科書にも掲載されているものがあるので、音楽の授業で
歌ったり、聴いたりしたことがある、という人も多いでしょう。
『カーロ ミオ ベン』は、
世界中で多くの人々に、長きにわたって愛され、歌われてきた
イタリア歌曲の名曲なのです。
🎼邦題の『愛しい人よ』ではなく、『カーロ ミオ ベン』として広く認識されています。
『カーロ ミオ ベン』には、「Caro mio ben : イタリア語」の意味そのままの
『愛しい人よ』という邦題がついていますが、
邦題の『愛しい人よ』ではなく、
『カーロ ミオ ベン』として広く認識されています。
『愛しい人よ』では、
何の曲なのかピンと思い浮かばなくても、
『カーロ ミオ ベン』というイタリア原語のままであると、
「あぁ、あの有名な『カーロ ミオ ベン』ね」と、わかるのです。
🎼邦題の『愛しい人よ』ではなく、『カーロ ミオ ベン』として広く認識されているのは、どうしてなのでしょうか?
この歌曲は、「カーロ ミオ ベン」の1フレーズから歌いだします。
このたった1フレーズが、
聴いている人の心にとても印象深く残るので、
邦題の『愛しい人よ』ではなく、
聞こえてきた歌詞「カーロ ミオ ベン」がそのまま題名として
広く認識されているのではないでしょうか。
この「カーロ ミオ ベン」の1フレーズがとても印象深く残るのは、
歌い始めの「カー」が、高い音で美しく響き、
聴いている人は、この一音を聴いただけで、
心が澄んだように感じられるからです。
歌い出しの音としては高めの音ではじまります。
歌い手が、第一声で、
この高さの声をきれいに響かせるためには、技術が必要です。
このたった一音が美しく響くと、
聞き手の心をつかむ歌の始まりとなるのです。
そして始めの「カー」の一音から続く
「カーロ ミオ ベン」の1フレーズは、
音階を一音ずつ順番に、
ゆったりとしたテンポで下りてくるだけのシンプルなメロディーです。
美しく響くシンプルな歌いだしの「カーロ ミオ ベン」の1フレーズは、
穏やかに心に染みわたり、記憶に残りやすいのです。
🎼イタリア歌曲を学び始めて間もない頃に、誰もが練習します。
このイタリア歌曲『カーロ ミオ ベン』は、
声楽を学ぶ人なら、誰もが練習したことがあるはずです。
♪ 声楽を練習し始めた初心の人にちょうどよい、歌いやすいメロディー、リズム、テンポ
まだ、発声の技術がしっかりしていない初心の人にとって、歌いやすい歌曲です。
『カーロ ミオ ベン』が歌いやすいのは (^^♪ (^^♪ ・メロディー、リズムがとてもシンプルな作り。 ・テンポは、ゆったりとした「ラルゲット Larghetto」。 ・曲の長さが、楽譜にして見開き2ページ分(ピアノ伴奏付きで)と、ごく短い。
複雑なメロディー、リズムや、速いテンポの曲は、歌いこなす技術がない場合、
発声をおろそかにしたまま、
音程やリズムを正しくとることに気を取られます。
ですが、『カーロ ミオ ベン』の
シンプルなメロディー、リズムと、ゆったりとしたテンポは、
「発声」の技術、つまり「いい声を出す」技術の練習に集中しやすくなります。
ですから、声楽を習い始めた初心の人に、練習曲としてピッタリなのです。
♪ シンプルな作りながら「表現」の練習も充分にできる
そして、メロディーが歌いやすいだけではなく、
歌詞は、ごく短く、
「自分のことを思ってください。冷たくしないでください。」と
愛する人にストレートに気持ちを伝える、
簡潔で、わかりやすい内容です。
また、愛する人を想う甘美な優しい愛の呼びかけと、
愛するがゆえの、せつなく苦しい感情のゆれが、
短い曲の中で、見事に表現されています。
メロディーも歌詞もシンプルな作りながら、
「愛しい人への愛」をしっとりと抒情的に美しく、
また「冷たくしないでください。」とつらさを切実に訴えかける
対比的な表現を学べるのです。
🎼メロディー、リズムがシンプルな作りの曲は、「表現すること」が、よりいっそう求められます。
『カーロ ミオ ベン』は、
メロディー、リズムがとてもシンプルな作りになっているので、
その点では歌いやすいと言えますが、
曲の作りがシンプルになっていることで、
「表現すること」については、よりいっそう求められます。
なぜならそれは、
シンプルなメロディー、リズムの曲は、
1音1音にしっかりと意味をもたせて、
豊かに感情表現をしなければ、単純で単調、退屈な曲に聞こえてしまうからです。
🎼シンプルにして奥深いイタリア歌曲 愛の名曲『カーロ ミオ ベン』
♪ 歌は、
「ただ声を出すだけ」では、歌になりません。
その曲の内容を表現して、
聞き手に思いを伝えてこそ 歌になります ♪
練習を重ねて、
愛する人を想う甘美な優しい愛の呼びかけと、
愛するがゆえの、
せつなく苦しい感情のゆれとを、十分に表現できるようになれば、
『カーロ ミオ ベン』のシンプルなメロディー、リズムが活きてきます。
聴いている人の心にも、
そのストレートな愛の言葉を、
クリアに、明瞭に、真っ直ぐ鮮明に届けることができます。
これこそ、シンプルな曲が持つエネルギーなのです。
プロの声楽家が好んで演奏会で歌うのも、納得できます。
声楽を学ぶ人、誰もが歌うイタリア歌曲の名曲『カーロ ミオ ベン』!
当教室で、ご一緒に歌ってみませんか。
繊細で優しい愛の呼びかけと、愛を求める切実な叫び、
心で感じて、表現して、大きく感動してみてください。
今回のコラムにお付き合いいただき、
ありがとうございました。
次回は、引き続き、
イタリア歌曲『カーロ ミオ ベン』を、コラムの中で、レッスンしていきます。
ご興味のある方は、是非、こちらをご覧ください。
梅谷音楽学院 講師 IKUKO KUBO (^^♪