愛の名曲『カーロ ミオ ベン』を深堀り、表現豊かに歌う:イタリア歌曲:歌のレッスン

音楽 ちいさな感動 おおきな感動

前回のコラムでお話した、
声楽を学ぶ人、誰もが歌うイタリア歌曲の愛の名曲
カーロ ミオ ベン』(イタリア語:Caro mio ben )

今回は、この曲の内容を、深く掘り下げていきます。
そして、作曲者が曲に込めたメッセージを理解して、表現豊かに歌うことができるよう、
歌のレッスンをしていきます。

歌は、
「ただ声を出すだけ」では、歌になりません。
その曲の内容を表現して、

聞き手に思いを伝えてこそ歌になります

声楽を学んでいる人に参考にしてほしい内容となっているので、
少々、専門的な部分もあります。

(^^♪『カーロ ミオ ベン』について、簡単に知りたい方は、
前回のコラムを、是非、ご覧ください。
今回のコラムを読んでくださる方も、こちらもお読みいただくと、
よりわかりやすくなります。
※コラムの最後にリンクがあります。 
      

🎼『カーロ ミオ ベン』は、曲の作りがシンプルなので、歌いやすい。

・メロディー、リズムがとてもシンプルな作り
・テンポは、ゆったりとした(ラルゲット Larghetto)
・曲の長さが、楽譜にして見開き2ページ分(ピアノ伴奏付きで)と、ごく短い

複雑なメロディー、リズムや、速いテンポの曲は、歌いこなす技術がない場合、
発声をおろそかにしたまま、音程やリズムを正しくとることに気を取られます。

シンプルな作りの曲では、
「発声」の技術、つまり「いい声を出す」技術の練習に集中しやすくなります。
       

🎼「表現すること」については、よりいっそう求められます。

曲の作りがシンプルになっている点では、歌いやすいと言えますが、
「表現すること」については、よりいっそう求められます。

なぜならそれは、シンプルなメロディー、リズムの曲は、
1音1音にしっかりと意味をもたせて、
豊かに感情表現をしなければ、単純で単調、退屈な曲に聞こえてしまうからです。

練習を重ねて、
十分に感情表現ができるようになれば、
『カーロ ミオ ベン』のシンプルなメロディー、リズムが活きてきます。
聴いている人の心に、
クリアに、明瞭に、真っ直ぐ鮮明に届けることができるのです。 
            

🎼『カーロ ミオ ベン』(イタリア語:Caro mio ben )の言葉の意味と歌詞

題名になっている『カーロ ミオ ベン』(イタリア語:Caro mio ben )の言葉の意味は、
日本語で「愛しい人」です。
愛しい人への、どのような気持ちを歌っているのでしょうか。

私の愛しい人 
Caro mio ben
  
せめて私を信じてください
credimi  almen
 
あなたがいないと 
senza di te
 
私の心は弱ってしまいます 
languisce il cor
 
私はあなたを忠実に思っています 
Il tuo fedel

いつも ため息をついています 
sospira ognor

やめてください 残酷な人よ 
Cessa crudel

そんなにつらくあたるのは 
tanto rigor

カーロ ミオ ベン』の歌詞は、
「自分のことを思ってください。冷たくしないでください。」と、愛する人に求める内容です。

とても簡潔な文の歌詞で、ストレートに気持ちを伝えています。
       

🎼深堀り① 同じ歌詞を繰り返して歌うことで、繰り返しの内容が強調されます。

では次に、作曲者が曲に込めたメッセージについて、さらに理解を深めていきましょう。

この短い曲の中で、同じ歌詞が何度も繰り返されています。

私の愛しい人(カーロ ミオ ベン)  × 4回
Caro mio ben

せめて私を信じてください× 3回
credimi  almen 

あなたがいないと× 4回
senza di te 

私の心は弱ってしまいます× 4回
languisce il cor 

やめてください 残酷な人よ× 2回
Cessa crudel 

そんなにつらくあたるのは× 3回
tanto rigor 

※いつも ため息をついています
 sospira ognor は、繰り返しなし 

歌詞は、一文ずつが、ごく短いもので、
全部合わせても8つのフレーズだけにまとめられています。
それぞれの言葉が簡潔で、ストレートな文が選ばれているので、明確に伝えやすい内容です。

ですが、シンプルでわかりやすい、
ということは、一般的で、ありふれた言葉だとも言えます。

ありふれた歌詞では、印象が弱くなってしまいますね。
ですから『カーロ ミオ ベン』では、
同じ歌詞を何度も繰り返して歌うことで、印象に残るようにしているのです。

シンプルな愛の言葉が、
短い曲の中で効果的に強調され、
愛情表現に強さと深みを持たせていることがわかります。

         

🎼深堀り② 強弱記号(演奏するときの音の強さを表す)の意味と役割

♪ 強弱記号を演奏するときに、大切なこと

次に、強弱記号について確認します。

その前に、
楽譜に付けられている強弱記号を演奏するときに大切なことを、知っておきましょう。

音の強弱記号とは、
単純に音そのものを

強く演奏するか、弱く演奏するか、だけではありません。

「音の強弱」に加えて、
どんな「音色」の音なのか、

どんな「感情」なのか、などの作曲者のメッセージが込められています。

声色や歌い方、

顔の表情や体全体で、
このメッセージを表現しなくてはなりません。

♪ 『カーロ ミオ ベン』につけられた強弱記号の意味を理解して、表現する。

この曲では、
特に次の2点について理解を深め、
作曲者のメッセージを、表現豊かに歌うことにつなげていきましょう。

▶「f フォルテ(強く)」により強調されていることはなにか
▶「p ピアノ(弱く)」の役割はなにか

歌詞
「私の愛しい人 
Caro mio ben」は、4回あり、
そこに付けられた強弱記号は

1回目:p ピアノ(弱く)
2回目:p ピアノ(弱く)
3回目:PPP  ピアニッシシモ(極めて弱く)
4回目:p ピアノ(弱く)

となっています。

(^^♪ 歌い方レッスン:歌詞「私の愛する人 Caro mio ben」

「私の愛しい人 
Caro mio ben 」

という呼びかけには、「p ピアノ(弱く)」がついていますが、
単純に音そのものを「弱々しく」歌うのではありません。

「繊細に優しく」愛する人に呼びかけるように、
声色や表情を伴わせて表現するのです。
そのためには、声を美しく響かせ、その余韻を残すように歌うと、
甘美な心地よさを漂わせることができます。

3回目については、
PPP  ピアニッシシモ(《極めて》弱く)なので、
以上の表現が、《極まって》いなければなりません。

もし、この「私の愛する人 Caro mio ben 」という呼びかけに、
「f フォルテ(強く)」がついているのなら、全く別のとらえ方、表現になりますね。

単に、音を強く演奏するのではなく、
「堂々と、オープンに、自信たっぷりに」
愛する人に呼びかける、という表現になるのです。

歌詞  
「やめてください 残酷な人よ
Cessa crudel」は、2回あり、
そこに付けられた強弱記号は

1回目:f フォルテ(強く)
2回目:f フォルテ(強く)
※そのうちの1回は、歌詞の上に表示はないですが、前のフレーズからの続きだと考えます。


歌詞
「そんなにつらくあたるのは 
tanto rigor」は、3回あり、
そこに付けられた強弱記号は

1回目:f フォルテ(強く)
2回目:f フォルテ(強く)
3回目:f フォルテ(強く)
※そのうちの1回は、歌詞の上に表示はないですが、前のフレーズからの続きだと考えます。

となっています。

(^^♪ 歌い方レッスン:歌詞「やめてください 残酷な人よ Cessa crudel」・「そんなにつらくあたるのは tanto rigor」

「私の愛しい人
 Caro mio ben 」

と、愛する人に呼びかけるのは「p ピアノ(弱く)」なのに対し、

「やめてください 残酷な人よ 
Cessa crudel」
「そんなにつらくあたるのは 
tanto rigor」

と、愛する人に願い求めているところに、
「f フォルテ(強く)」が付けられているので、こちらを強調していることがわかります。

ですが、単純に音そのものを「強く際立たせて」歌うのではありません。

愛する人に、つらくあたられて、どんな心境に陥っているのでしょうか。
それを理解して、歌い方や表情などで表現しなければなりません。

「腹が立つ」のか
「悲しくて傷心している」のか
「寂しくて心が満たされない」のか
「苦しくて立ち直れそうにない」のか

さらには
「怒りが憎しみ、恨み」にまで発展しているのか
「悩んで気持ちが暗く」なっているのか

この心境を理解するヒントは、次の歌詞です。

「あなたがいないと 
senza di te」
「私の心は弱ってしまいます 
languisce il cor」
「いつも ため息をついています 
sospira ognor」 

愛する人がそばにいてくれないことが、
つらくて苦しく、悲哀な気分に陥っている様子であることがわかります。

ですから、この場合、
次の2フレーズにつけられた「f フォルテ(強く)」は、

「やめてください 残酷な人よ 
Cessa crudel」
「そんなにつらくあたるのは 
tanto rigor」

愛する人がそばにいないと、つらくて苦しく、悲哀な気分に陥っていることを訴える
「憂いを帯びたような」「懇願するような」

声色や歌い方で表現します。
「切迫感がある」感じが混ざるとより良く表現できます。

「激しい」「命令するような」「怒りで興奮した」声色や歌い方の表現にはなりません。

そして、この「f フォルテ(強く)」により強調されている訴えは、
愛する人に呼びかける「 Caro mio ben 」の「p ピアノ(弱く)」が、
繊細で優しい愛の呼びかけであればあるほど、
対比的な表現として、
より切実な願いとして聞こえてくるのです。
      

ジョルダーニ作曲『カーロ ミオ ベン』 ルチアーノ・パヴァロッティ-テノール

          

🎼シンプルな曲が持つエネルギーを、歌で最大に引き出しましょう!   

声楽を学ぶ人、誰もが歌うイタリア歌曲の愛の名曲『カーロ ミオ ベン』は、
シンプルな作りながら、
「愛しい人への愛」をしっとりと伝える抒情的で美しい曲調です。

また、愛する人を想う甘美な気持ちだけではなく、愛するがゆえの、
せつなく苦しい感情の揺れが、
短い曲の中で、見事に表現されています。

表現豊かに歌うことで、
シンプルな曲が持つエネルギーを、最大に引き出しましょう!


当教室でご一緒に歌いませんか。
愛の言葉を心で感じて、表現して、
聴いている人の心にも、クリアに、明瞭に、真っ直ぐ鮮明に届けることで、
おおきな感動を体験してみてください。

今回のコラムにお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回の『ちいさな感動おおきな感動』も、よろしくお願いします。
     

(^^♪『カーロ ミオ ベン』について、
前回のコラムでもご紹介しています。是非、ご覧ください。

梅谷音楽学院 講師 IKUKO KUBO (^^♪

大阪府吹田市千里丘の音楽教室です。 幼児(3歳)からシニアの方まで、随時ご入会を受け付けています。 現在、個人レッスンによる「ピアノ」「声楽」「チェロ」「ソルフェージュ(視唱、聴音、楽典など)」の4科目を開講しており、初心者、経験者、趣味で楽しみたい方、また音楽大学・音楽高校を目指したい方など様々な生徒さんが在籍されています。 ご一緒に音楽を楽しみませんか。
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