歌のレッスンの最終目標は、
生徒さんが自分の声で、その曲の思いを表現出来るよう指導することです。
「何について表現するのか。」を、
しっかり理解したうえで、レッスンを進めていくようにしています。
今回は、生徒さん直々に、歌いたい！
とお申し出があった曲「パート・オブ・ユア・ワールド」。
レッスンをする前に下準備をしてみました。
すると、『リトルマーメイド』の物語の中で、
主人公の人魚アリエルの、とても強い思いを歌い上げる、重要な意味を持つ曲！だということがわかりました。
表現することを学ぶには、最適な曲になりそうです。
思いが強いということは、それだけ多くのエネルギーを使って、歌うことになります。
私も熱意を持ってレッスンをし、生徒さんのエネルギーを引き出すようにしていきます。
では、「パート・オブ・ユア・ワールド」には、どんな思いが込められているのでしょうか。
今年、創立100周年を迎えた
ウォルト・ディズニー・カンパニー（Disney）。
この歴史的な年に製作公開した、実写版映画『リトル・マーメイド』。
この曲は、主人公の人魚アリエルが歌う曲です。
この映画の原作は、皆さまご存知のデンマークの童話作家
ハンス・クリスチャンセン・アンデルセンによって、1837年に発表された おとぎ話『人魚姫』です。
ディズニーは、このおとぎ話を1989年にも、
長編アニメーション映画として製作公開しています。
ご覧になった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
「パート・オブ・ユア・ワールド(Part Of Your World)」
直訳すると「あなたの世界の一部」。
そうです。
人間の王子様に恋をしてしまった人魚アリエルが、人間の世界に行きたい！と願って歌う曲です。
「・・・
ヒレじゃ遠くへ行けない
足がいるわ
踊ったり 散歩したり・・・
歩いて 走って 日の光 浴びながら
自由に 人間の世界で・・・
いつの日か
陸の 世界の果てまでも ゆきたい
人間の世界へ・・・ 」
大好きな王子様がいる人間の世界に行くには、、
足がいる！
物語では、魔女にヒレを足に変えてもらい、人間の世界へ行くことになるのですが、、
ここで、冷静に考えてみます。
ヒレ → 足 ！！！
このアリエルの願いは、現実的には、
努力すれば叶えられる願いではありません。
アリエルも、この歌を歌う場面では、
魔法によって、足がもらえることになるとは思ってもいません。
でも、それでも、
アリエルは叶うと信じているのです！
非現実的な妄想のような願いを。
アリエルが叶うと信じている、
と私が思う理由は、この曲のメロディーにあります。
歌詞だけを読むと、アリエルの思いは他の解釈もできます。
【解釈①：憧れだけの願い】
「いつの日か、ゆきたいなあ、人間の世界に。
王子様と一緒に踊るのよ。
そんなの無理なお願いだけど、、
でも、もし、、足がもらえたら、素敵だなあ、、 」と
幸せな自分を空想しているけれど、叶うはずもないので、遠くから王子様を眺める毎日。
【解釈②：悲観的な願い】
「ヒレじゃ遠くへゆけないわ、、
日の光 浴びながら自由に人間の世界で
歩いたり、走ったりしたいのに、、
でも、絶対に無理なことだもの。
あきらめるしかないわ。 悲しいわ。
王子様のいる世界に行けないなんて。
神様は、どうして私を人魚にしたの、、」と
願いが叶うはずもないと悲観して、自分を憐れんでいる。
【解釈③：なんとしてでも叶えてみせるという強い意志】
繰り返しになりますが、アリエルは叶うと信じているのです。
非現実的な妄想のような願いを。
それは、この曲のメロディーを歌ってみるとわかります。
明るくのびやかで、力強く、希望に満ちているメロディーなのです！
このメロディーからは、
「いつの日か 陸の、世界の果てまでも
ゆきたい、人間の世界へ！
無理だなんて思うことはないわ。何としても、
行きたいわ！
絶対に、叶えてみせるわ！」という
強い気持ちがあふれ出てくることがわかります。
この歌には、
意志の強さと情熱と明るさと、行動力と決断力を持つ、アリエルという人物像(人魚像(・・?)が象徴されています。
物語の中では、重要な役割を持つ歌ですね!
明るく力強く、希望に満ちた思いを
自分の声で表現できたら気持ちいいですね。
生徒さんと一緒に歌いながら、心を込めてレッスンしていきます。
今日のブログにお付き合いいただいて、ありがとうございました。
また次回も、お気軽に読んでいただけたら、嬉しいです。
梅谷音楽学院 講師 IKUKO KUBO(^^♪
