『手のひらを太陽に』誕生の意外なひみつ!歌のレッスン

音楽 ちいさな感動 おおきな感動

『手のひらを太陽に』は、あまりにも有名な
童謡として知られているので、
皆さんも、耳にするだけではなく、
一度は声に出して、歌ったことがあるのではないでしょうか。

今回のコラムは、
こどものうたのレッスンの題材に使った童謡
『手のひらを太陽に』誕生の意外なひみつ!のお話です。 

意外なひみつ!のお話の前に、
教室の歌のレッスンで、生徒さんに学んでもらっている、
『手のひらを太陽に』の曲の内容をみていきます。

🎼まず、テーマをしっかりと理解します

まず初めに、その曲のテーマ、つまり、
作者が最も伝えたいと思っていることを、
生徒さんがしっかりと理解できるよう
に伝えます。

歌詞を読んだり、歌ったりしながら、
一緒にテーマを考えていくこともあります。
      

では、『手のひらを太陽に』のテーマは何でしょうか。

それはズバリ!
「生きている喜び」です!

解りやすいテーマですが、このテーマは、
『手のひらを太陽に』誕生の意外なひみつ!に関わることなので、
より理解を深めていきます。
       

🎼テーマ「生きている喜び」を、つかみます

この曲のテーマは、
どのようにして、つかめばよいでしょうか。
歌詞と曲調から、確認していきましょう。

🎹①歌詞を読んで、つかみます

作詞は、『アンパンマン』の作者として有名な
やなせたかしさんです

ぼくらはみんな 生きている
生きているから 歌うんだ
ぼくらはみんな 生きている
生きているから かなしいんだ

手のひらを太陽に すかしてみれば
まっかに流れる ぼくの血潮(ちしお)

ミミズだって オケラだって アメンボだって
みんな みんな生きているんだ
友だちなんだ        (2,3番は省略)

この歌詞からは、      

「生きている」から

「歌うんだ 」=行動ができるんだ
「かなしいんだ」=感情がわくんだ
「友だちなんだ」= 他者と関わることができるんだ 

だから、

「生きている」ことは、
素晴らしいことなんだ!

 と、読み取れます。        

🎹② 曲を聴いて、つかみます

この『手のひらを太陽に』は、東日本大震災の復興を応援するために、多くのタレントが集まり制作されたCD「日本の歌 心の唄」の中に収録されています。出演:パパイヤ鈴木、野々村 真、布川 敏和、水木 一郎、畑中 葉子、芋洗坂 係長、モンキッキー、虻川 美穂子、伊藤 さおり(北陽)、神木 優、池田 優菜、Dr.Tommy  タレントさんたちと、子どもたちの楽しい共演をお聞きください。  

歌が始まる前の前奏の部分から、
まるでスキップをしているかのようなメロディーが流れてきて、

歌の始まり「ぼくらはみんな生きている~」に入ってからも、
そのまま躍動感のあるメロディーが続きます。

途中の「まっかに流れる ぼくの血潮」の
メロディーは、長い音符を使うことで、
力強くしっかりとしたメロディーとなり、
音階を上っていくことで、気持ちの盛り上がりを表しています。

さらに、
音階の一番高い音を長く伸ばすことで、
気持ちの解放感が感じられます。

最後の
「みんな みんな生きているんだ 友だちなんだ」で、
ウキウキと弾むように終わります。

この曲のメロディーは、始めから終わりまで、        

楽しそうに嬉しそうに響き、加えて力強さや解放感もある

と感じられます。 
             

歌詞もメロディーも、曲全体が、   

イキイキと、
「生きている喜び」に、
あふれています!

これが、テーマだとわかります。
      

🎼テーマをつかめたところで歌いましょう

🎹①曲の全体的な表現を理解しましょう

歌の表現方法は、
大きく次の3つに分けられ、自分の声と体で表現します。

『手のひらを太陽に』のテーマ
「生きている喜び」の場合は、次の3つで表現します。

 1: 声色・・・・明るい声

2:歌い方
(リズム感や声の強弱などのテクニック)
     ・・ 生き生きと弾むように
        リズミカルに
        しっかりした強い声で
        言葉をハッキリと

3:顔の表情・・ ニコニコ笑顔 (^^♪

          

🎹②曲の「一番の聞かせどころ」をつかみましょう

曲の中で、最も大切なところをつかみ取り、       
そこに、テーマである
「生きている喜び」のイメージを、最大限、注ぎ込みましょう。
     
手のひらを太陽に』
「一番の聞かせどころ」は、どこでしょうか。

それは、

「まっかに流れる ぼくの血潮」

の部分です。

この勢いよく流れている血こそが、生きていることの証です!

普段、私たちは、
自分の体の中に血が流れていることを
特別に意識することはありません。

ですが、ふとしたきっかけで、
「手のひらを太陽にすかしてみれば」、
「まっかに流れる ぼくの血潮」が見えるのです。

その瞬間に、
生きていることを実感し、
生命があること、

そのものに感動し、歓喜しています。

だから、
「まっかに流れる ぼくの血潮」の部分が、
この曲の「一番の聞かせどころ」となります。

「生きている喜びにあふれている自分自身」のイメージを最大にして

高らかに、歌い上げます。 
       

「血潮」という言葉には、他に、
「熱血」「情熱」という意味もあるので、

「元気がほとばしって、
勢いよく燃え立っているエネルギーがあふれ出てくる」
イメージで、
思い切って、しっかりと声を出します。
          

(^^♪歌っていると、元気がわいてくる!

この歌詞もメロディーも
「生きている喜び」にあふれている『手のひらを太陽に』は、
 歌っていると、元気がわいてくる
まさに、生命の賛歌というべき曲ですね!
      

🌞『手のひらを太陽に』誕生の意外なひみつ!

この生命の賛歌の、歌詞が誕生した背景ですが、
それには意外なひみつ!があったのです。
そのひみつ!とは、
作詞者の やなせたかしさんの、当時の状況に関することです。

やなせたかしさん と言えば、
『アンパンマン』の爆発的大ヒットによって、
数々の賞を受賞され、
その後も、名声に甘んじることなく、
多方面でご活躍なさり、勲章も叙勲された方。
と、誰もが知っている著名人です。

ですが、
『アンパンマン』が爆発的に大ヒットするまでは、
お仕事に対して、苦悩することが多かったようです。

『アンパンマン』がテレビ放映され始めたのは、1988(昭和63)年
やなせさんが 69歳のときです。

手のひらを太陽に』の歌詞が作詞されたのは、
その27年も前の 1961(昭和36)年
やなせさんが 42歳のときでした。

その頃のやなせさんは、
当時の時代背景や、
世の中の風潮に自分の仕事が合わず、
なかなか思うように活躍できずにいて、
先行きに不安を抱えながらの日々を過ごしていました。

そして、その日の晩も、暗い部屋にひとり、
鬱々とした気分で、何をするでもなく落ち込んでいました。

その時にふと、
懐中電灯の光に自分の手が照らされて、
透けて見える手のひらに、血が流れている!
と気付きました。(太陽ではなかった、、、)

その瞬間に、
「生きている」ことを実感し、
たくさんの自然の恵みや、周りの人たちによって
「生かされている」ことに気が付いたのです。

すると、
大きな感謝の気持ちがわいてきました。
それが、生きていくエネルギーとなり、
手のひらを太陽にの歌詞が誕生したのです!

私たちは、
健康で、悩みもなく過ごしているときほど、
そのありがたみを忘れてしまっています。
もし、
やなせさんの人生が終始、
無病息災、順風満帆であったなら、
この名曲『手のひらを太陽に』は
この世に誕生していなかったかもしれません。

そう考えると、悩みや苦しみも、
人生を豊かにしてくれるためのもの
なのかもしれませんね。

やなせさんが、
生きる希望を持てるようになったときに誕生した曲
手のひらを太陽に』!

皆さんも、一度、
手のひらを太陽にすかしてみてください。
勢いよく流れる血潮をみて、
生きている喜びを感じてみてください。
そして、
思い切りおおきな声を出して、歌ってみれば、
おおきなエネルギーに満たされます!

今回のコラムにもお付き合いいただき、
ありがとうございました。
次回のコラム『ちいさな感動おおきな感動』も
よろしくお願いします。

梅谷音楽学院 講師 IKUKO KUBO (^^♪

大阪府吹田市千里丘の音楽教室です。 幼児(3歳)からシニアの方まで、随時ご入会を受け付けています。 現在、個人レッスンによる「ピアノ」「声楽」「チェロ」「ソルフェージュ(視唱、聴音、楽典など)」の4科目を開講しており、初心者、経験者、趣味で楽しみたい方、また音楽大学・音楽高校を目指したい方など様々な生徒さんが在籍されています。 ご一緒に音楽を楽しみませんか。
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